現代デザインにおけるロシアンモチーフ、選りすぐりの10品
1. 「ロシアのおとぎ話」、ピョートル・アクショーノフ
ロシア帝国の王冠型ブローチ、ファベルジェの卵にインスパイアされたペンダント、その他、ロシアのフォークロアでお馴染みの造形の数々。装飾デザイナーのピョートル・アクショーノフの作品のモチーフとしてなっているのは、ロシアのおとぎ、帝室の宝物、民芸品などである。
2. シルクのスカーフ『シリン鳥』(Sirinbird)
アーティストのイリーナ・バチコワは2013年にシルクスカーフのブランド『シリン鳥』を立ち上げた。ロシアの歴史とフォークロアにインスパイアされたデザインが特徴。その後はココシニクにネックレス、衣類やバッグなども発表しており、おとぎ話を連想させる鮮やかなシリーズとなっている。
3. オリガ・エンゲリの木製家具
デザイナーのオリガ・エンゲリの個性的な作品の数々には、過去にタイムトリップさせてくれるような家具もある。Babushka(おばあちゃん)シリーズのベンチや椅子は田舎の家の雰囲気をまとい、子供時代の思い出を蘇らせてくれそうだ。ロシアの昔ながらの糸車や、古い台所調度品のシルエットを連想させるデザインが魅力だ。
4. スタジオ Made in August の UTVAR シリーズ
ヴィターリー・ジュイコフはイジェフスク在住のデザイナー。彼は無人の村で見つけた古い調度品(露語でutvar)、家具、窓框などに新たな命を吹き込んだ。これらの素材を柔軟に用いてランプ、彫刻、鏡の枠など、様々なインテリアとして再生している。
5. Verejaの編み物ワールド
スタイリストのイーゴリ・アンドレーエフは2019年に実験的な編み物ウェアのブランドを立ち上げた。古着のリサイクルがアイディアの基礎となっているが、田舎の伝統的な編みカーペットに着想を得たものでもある。このブランドは話題になり、多くの雑誌に掲載されるなどファッション界で注目を集めた。
6. Helen Loomのテクスチャ・デザイン
織物デザイナーのエレーナ・マズルが発表するインテリア用の刺し縫いや織物製品は、伝統的な手工業や民芸に敬意を表した意匠だ。彼女のブランドHelen Loomでは、ロシアのおとぎ話や伝統的な民芸をモチーフとしたテクスチャ・デザインを鏡やランプ、タペストリーや飾りパネルなどに応用している。
7. グジェリのBearbrick
10年ほど前のファッション業界ではまだ、白と青の伝統的なグジェリはキッチュ寄りの扱いだった。だがそれも今は昔。古くからの工芸を守る工房では現在、人気の熊キャラBearbrickのオリジナルバージョンも制作している。
8. アリョーナ・アフマドゥリナによる、ホフロマ柄の熊
黒をバックに金色の模様が映える名高いホフロマ柄は、ロシアの代名詞的存在。ファッションデザイナーのアリョーナ・アフマドゥリナはこれまでも伝統工芸のモチーフを多用してきたが、現在は『ホフロマ』工房のクリエイティブ・ディレクターを務めている。彼女のミッションは、伝統的な装飾美術に新たな命を吹き込むこと。お馴染みの装飾が施された家具、装飾、テクスチャ、食器などが今、コレクターや愛好家たちから高評価を得ている。
9. マイヤ・レズニコワ& Working Knowledgeによるランプ‘Of Course I still love you’
建築家マイヤ・レズニコワによる未来的デザインのランプは、宇宙開発にインスパイアされている。しかし良く見ると、ロケットのフォルムには素朴な民俗的刺繍の花鳥模様や幾何学模様が調和して隠されている。
10. ZIMAのヴァレンキ
伝統的なロシアの履物であるヴァレンキは21世紀になって多くのファッションブランド(オートクチュールに至るまで)によって再解釈された。古くからの信頼と実績を誇る、極寒の冬に最適なウール生地の履物があるなら、わざわざ新しいものを発明する必要もない、というわけだ。ZIMAブランドは昔ながらのフェルト生地にラインストーン、ファーといった装飾を加え、融雪剤に強いゴムプロテクターで保護して新技術との融合を図った。
9月17日~21日にニジニ・ノヴゴロドで開催されるWorld Youth Festival-2025では、クリエイティブ産業と芸術に関するコンセプチュアルな課題について討議が行われる。