「赤の広場」でスターリンのためにサッカーの試合が行われた経緯

アナトリー・エゴロフ/MAMM/MDF/russiainphoto.ru
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1936年7月6日、モスクワのサッカークラブ「スパルタク」が公開試合を行った。

 モスクワの「赤の広場」は、これまで多くのスポーツ選手を目にしてきた。クレムリンの城壁に沿った石畳の上では体育パレードが行進し、ソ連の選手たちは驚くような人文字や隊形を作り上げた。そして1936年7月6日には、体育パレードの一環として、ここで本物のサッカーの試合まで行われた。

 当時、史上初のソ連サッカー選手権が開催されていた。スターリンは熱心なサッカーファンではなかったが、スポーツ関係の幹部たちは、彼に関心を持たせようと考えた。そこで、次の全ソ体育パレードの際に、わずか15分間の小規模な公開試合を行うことにした。この試合では、「スパルタク」のレギュラー組が控え組と対戦することになっていた。

赤の広場全体を覆うカーペット

 しかし、石畳の上でどうやって試合をするのか。解決策はすぐに決まった。試合のために、赤の広場全体をカーペットで覆ったのである。その面積は9000平方メートルにも及んだ!

FCスパルタク
FCスパルタク

 カーペットは、この試合のために特別に縫い上げられた。「スパルタク」の選手ニコライ・スタロスチンは、次のように回想している。

 「夜になり、広場の通行がなくなると、最年少の選手から最も有名な選手まで、スパルタクの選手およそ300人が、靴を縫う太い針と、それぞれ10メートルほどの丈夫な麻ひもを手に取り、膝をついて這いながら、フェルトの板を1枚ずつ縫い合わせていった」

 ソ連の交通警察の要求により、カーペットは、日中の自動車の通行を妨げないよう、朝までに巻き取らなければならなかった。当時、赤の広場はまだ歩行者専用ではなかったからだ!

スターリンが初めて見たサッカー

 スタロスチンによれば、スターリンがサッカーの試合を観戦したのは、これが初めてだった。伝説によれば、試合が気に入らなければ中止させるため、スターリンが合図を送ることになっていたという。しかし、選手たちは予定されていた15分間ではなく、ほぼ1ハーフに相当する約40分間プレーした。試合は、レギュラー組が4対3で勝利して終わった。

エマヌイル・エヴゼリキン/モスクワ博物館/russiainphoto.ru
エマヌイル・エヴゼリキン/モスクワ博物館/russiainphoto.ru

 スターリンは満足し、拍手を送った。それも不思議ではない。実質的には、あらかじめ入念に演出されたサッカーのショーだったからだ。選手たちは、ヘディング、かかと、ジャンプ、倒れ込み、コーナーキック、ペナルティーキックなど、さまざまな方法でゴールを決めた。体育パレードを見物していた大勢の観客も大いに沸いた。

 それ以来、サッカーはソ連で国民的な人気を誇る競技となった。しかし、赤の広場でサッカーの試合が行われることは、2度となかった。