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サンクトペテルブルク初の電動トラムは、氷上を走っていた!
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そう、サンクトペテルブルクで最初の電動トラムは、凍ったネヴァ川の上を走っていたのだ。サンクトペテルブルクの街中を走り始めるのは、それから12年後のことである。
というのも、19世紀末頃、当時の首都サンクトペテルブルクの路面電車による輸送は民間企業である馬車鉄道会社が独占していた。同社は市議会と利権契約し、その契約によれば市側は1902年まで、市中で電動式の路面電車を自由に運行できないことになっていた(しかし試験自体は1880年に成功していた)。
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一方、契約では河川に関する規定は無かった。それを利用して1894年、フィンランド軽汽船会社とM.M.ポドベドフ&Kº電力運用会社がネヴァ川で電動路面電車の運用を開始した。
当然ながら、運行は冬季に限られた。氷上に傾斜をつけてレールと枕木が敷かれ、その上に架線が張られた。電柱は氷の中に埋め込まれた。最高速度は時速20km。
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路面電車は1月から3月にかけて4路線が運行し、1シーズンに最大90万人を輸送。それ以外の季節は、同じ路線を汽船が走った。
1899年には、同様の交通システムがニジニ・ノヴゴロドのオカ川の氷上で、1917年にはアルハンゲリスクの北ドヴィナ川の氷上で運行を開始した。
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サンクトペテルブルクの氷上路面電車は1895年の冬から1910年の冬まで運行した。この間、水中に転落した車両は皆無であった。
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地上で電動の路面電車が運行を開始したのは1907年。馬車鉄道の所有権が市に移ってから、5年後のことであった。