ソ連の超大型タンカー「クリミア」――壮大な船の運命
1974年4月9日にソ連の超大型タンカー「クリミア」が進水した。
それは全長295㍍、幅45㍍、排水量18万㌧のまさに巨船だった。風力7(13.9~17.1 m/s)の強風でさえ問題にしなかった。
クリミア号は、鉄道のタンク車3千両分の石油を積載できた。
36人の乗組員は、個室で快適に過ごした。彼らの便宜を図るため、船には図書館、屋内ジム、デッキ上の運動場とプールが備え付けられていた。
クリミア号に続いて、ソ連は、同様の超大型タンカーをさらに5隻建造した。「クバーニ」、「カフカス」、「クズバス」、「クリフバス」、「ソビエト石油」だ。しかし、ソ連の超大型タンカー艦隊は、ソ連の崩壊とそれにともなう経済危機を乗り越えることができなかった。
1989年、クリミア号は、ベトナムに売却され、そこでチーリンと改名されて、固定式石油貯蔵施設に改造された。その他の船は、民間企業の所有となり、1990年代後半にスクラップ場に送られた。