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ソ連の工業デザイナーたちが夢見た次世代型タクシー
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そこにロンドンタクシーがいたら、ポカンとするであろう。ソ連のママさんはベビーカーをそのまま車内に押し込んでいるのだ。
これは1964年にソ連で開発された、次世代モデルのタクシーの試作車である。ソ連の役人たちは、タクシー車両は一般の乗用車よりも、ミニバスに近い形状が適していると考えた。コンパクトで小回りが利き、それでいて収納容量が大きいことが望ましい。床は平床、トランクは内部にあり、幅の広いドアと、独立した運転席が必要だ。
試作車は、全ソ技術美学研究機関(VNIITE)の技術者たちが完成させた。
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この試作車はモスクワ市内で走行テストも行い、量産も計画されていたが、結局実現しなかった。この車の長所と短所を巡り、ソ連の役人たちの議論が行き詰まってしまったのである。安全性は確かか?普通の乗用車を使った方が良いのでは?そもそも、どこの工場で製造するのか?然るべき生産能力はあるのか?などなど…
良いアイディアだっただけに、実に残念。こんなタクシー、乗ってみたいとは思いませんか?