ロシアの寒極を旅する幾つかの心得
サハ共和国はロシアで最も寒冷な地域であり、そんなサハでも、ヴェルホヤンスク市とオイミャコン村は最も寒い居住区だ。まさにこの地で、マイナス67℃を下回る気温が記録された。そんな「寒極」の暮らしをこの目で見たいと、多くの旅人が夢見てきた。このような旅を安全に楽しむには、どのような準備が必要なのだろうか?
寒極への行き方
冬の魚市場、ヤクーツク。
通常、旅はサハ共和国の首都ヤクーツクから始まる。モスクワ、サンクト・ペテルブルグ、ノヴォシビルスクなどから直行便がある大都市で、人口は約40万。中国のハルビンとも直行便で結ばれている。
オイミャコンはヤクーツクから約1000km、ヴェルホヤンスクは1300kmの距離。オイミャコンまでは、専用の自動車で2日間かけて移動し、道中はハンディガ村で一泊する。ヴェルホヤンスクへは、バタガイ村まで飛行機で移動し、そこからは自動車というのが一般的なルートだ。
オイミャコンの石碑。
いずれのルートも、定期運行している公共交通機関が無いので、旅行代理店に依頼するのが最善。
必要に応じて、ビザの手配もお忘れなく(https://www.gw2ru.com/visa-help/239189-travel-to-russia-visa-free-2025)。
オイミャコンを訪れるのに最適な時期は?
ヤクーチアでは、気温マイナス50度の中でも馬が歩いている。
オイミャコンの冬は9月末から5月中旬までと長く、1月と2月がもっとも寒い時期だ。訪れるには、3月末~4月中旬がおすすめ。まだかなりの寒さだが、日照時間は13~14時間程度と、かなり長くなっている。冬の各種フェスティバルやスポーツイベントが行われるのも、この時期だ。
高級ホテルやレストランは無いものの、ゲストハウスは暖房付きで、お湯も出る。
どんな服装をするべき?
基本中の基本として、原則は「重ね着」である。とても暖かい1枚より、そこそこ暖かい服を何枚も重ねる方が効果的。地元民の服装を例にとってみよう:
- 保温インナー:2層にするのがベスト。最初に着るものは湿度を逃がし、次に着るものは保温性の高いもの。靴下も、暖かいものを2足重ね履きしよう。
- フリースないしウールの層:ズボンとカーディガン、もしくは着慣れた日常的な衣服。
- オプション:暖かいスキーウェア。
- アウター:ロングのダウンコート、もしくは毛皮のオーバー。帽子も複数を重ねて被っても良い。
- 履物:フェルトブーツ、ヤクートの伝統的なウンティなど、靴底が厚く、毛皮の裏地が付いた履物。
- アクセサリ:手袋ないしミトンは必須。2枚重ねならベター。目出し帽、幅広のマフラーや襟巻で顔面を風から保護するのも大事。
極寒での安全
極寒のスポーツイベント開催中。
-40℃を下回る極寒という環境は、多くの観光客、特に外国からの観光客にも想像し難いものだ。たとえ経験豊富なアスリートであっても、そのような過酷な環境に身体(機械も)が必ずしも耐えられるわけではないと、理解しておく必要がある。
- 機械:カメラや携帯電話のバッテリーはたちまち尽きてしまう。予備のバッテリーを用意し、身体に近い場所に携帯しておくべきだ。
- 食品:温かい食事、熱い飲み物を摂ろう。アルコールは避けた方が良い。身体が温まるような錯覚を与えるが、実際には体温が奪われやすくなる。
- 予防:凍傷の初期の兆候(皮膚が白くなる、皮膚の感覚がなくなるなど)が現れたら、直ちに暖かい室内に移動して、身体を温めよう。
おまけ:見所は、寒さだけじゃない
サハ共和国では永久凍土を見て、触れてみることも可能だ。さまざまな地元料理や、ヤクート映画の世界を見てみるのも面白いだろう。
オイミャコンでのおすすめ:
- 最低気温の記念碑と写真撮影
- ヤクートの「寒さの精霊」チスハーンに出会う
- ヤクートの固有種の馬を見る
- 凍らない川も見ておきたい。そもそもオイミャコンとは、「凍らない小川の地」という意味なのだ。水温は+4℃ほど。川の水に浸かって、温度差を体感する怖いもの知らずの者もいる。
ヴェルホヤンスクでのおすすめ:
- 「寒極」記念碑と写真を撮る
- 郷土史博物館を訪れる
- オーロラを見る。ヴェルホヤンスクは北極圏内(北緯67度33分)に位置しており、冬の間はほぼ全期間を通して、鮮やかなオーロラを観測可能。
道中は伝統的なヤクートの集落や、ジムニキ(凍結した河川上の道路)があり、伝統文化と触れ合う機会がある。そして、よく見る、インスタント麺が一瞬にして凍ってしまう写真も撮れる!
それでは、楽しい旅を!気温が-60℃を下回らないことを祈ります!